APT Women ACCELERATION PROGRAM IN TOKYO FOR WOMEN

受講生

株式会社スルシィ 関谷里美

株式会社スルシィ関谷里美

持続可能なモノづくり、フィリピン発「ラフィアバッグ」ブランド

株式会社スルシィが手掛ける『持続可能なモノづくり、フィリピン発「ラフィアバッグ」ブランド』について教えてください。

スルシィは、「1本のかぎ針でフィリピンの女性たちの未来を切り拓く!」をモットーに、働きたくても働き口がなく、たとえ仕事があったとしても低い賃金で働くことを余儀なくされているフィリピンの女性たちに、かぎ針を使用した手編みの技術指導を行い、地産の天然素材ラフィア(椰子の葉の繊維)でバッグを制作しています。

一つひとつ丁寧に作られたスルシィのラフィアバッグは、フィリピンのリゾートホテル内のショップ、ギャラリー、日本の大手百貨店やネットなどで販売しています。

現在、フィリピン・セブ島の小さな街に自社工房を構え、約50人の女性たちが自信と誇りを持ち、バッグ作りをしています。フェアトレードの指針に基づき、公正な対価を支払うことで彼女たちの日々の暮らしを支えています。

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バッグの素材は、地産地消でもあるフィリピン産の天然ラフィア糸を100%使用し、ラフィア糸の調達からバッグの仕上げまで一貫した生産体制を取り、継続可能なモノづくりを実践しています。また、ラフィア糸を継続的に買うことで、ラフィアを葉から糸にする人の雇用も生んでいます。

地域に根ざした取り組みにも力を入れ、工房のある街の刑務所に収監されている女性たちに、出所後にスルシィで働けるよう編み物の技術習得トレーニングをし、刑務所内でもバッグを制作しています。工賃は家庭で待つお子さんたちに学用品代など刑務所内から送金しています。

起業のきっかけを教えてください。

前職を辞め、リフレッシュのために行ったセブ島のお土産屋さんで民芸品のカゴを目にし、あまりにも安い値段を見て作り手の工賃がとても気になりました。

地産の天然素材ラフィアを使用し現地の女性たちに、自分がオシャレなバッグのデザインや編み物の技術指導を行い、手編みのバッグを作ることで雇用の創出と女性の自立を支援できるのではないか、そして、かかっただけの工賃をきちんと支払い、出来上がったバッグを日本で販売すれば社会課題を解決しつつ、ビジネスとしてやって行けるのではないか、と考えたのがきっかけです。

また、今までフィリピンではラフィア糸は機織りだけに使用されていたので、スルシィが初めてかぎ針を使用したラフィア糸の手編み技術を持ち込み、機械の投資も場所も選ばず気軽に仕事が出来る環境と仕組みを整えさえすれば、新しい仕事の道が開けるのでは、と可能性にも気付いたのです。

今後の展望を教えてください。

バッグの生産拠点であるフィリピンとの距離を考慮し、アジア近隣国の富裕層をターゲット顧客と捉え、市場拡大を図ります。また、海外の展示会に出展し、欧米での販売も視野に入れ輸出促進を目指します。

生産量を増やす必要が生まれることで、今の家内制手工業(工房)から工場制手工業(工場)に発展させ、スケールアップしたいと思っています。それに伴い、生産体制の強化、設備投資、人員確保、生産者の教育なども併せて取り組んでいかなければならないと考えています。

また、国連が掲げるSDGsの“持続可能な開発目標”をスルシィの目標に掲げ、これらの社会課題を解決しながら将来を見据え、スルシィのビジネスやマーケティングに組み込んでいきます。

近い将来には高級海外ブランドとコラボし、「ラフィア+革」のバッグを世界中で販売し、“フィリピンの女性たちの可能性”をモノづくりを通して世界にたくさん発信していきたいです。

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